尿もれのこと 体づかいの視点より

「尿もれ」についてお聞きしました

「尿もれ」エピソードをお聞きすると、意外とあるある?

 

30代〜80代、出産経験の有無に関係なく、程度の差はあれ、経験者は多いという印象。

たくさんの方がご自身の経験談を 明るくお話くださいました。

「子供が2歳になった頃、縄跳びしてみせた時に・・・」

「随分と前、今より20kgくらい体重が重かった頃かな・・・」

「外出自粛でなんとなく気持ちが落ち込んだ頃にね・・・」

「何かの時にはお腹をギュッと力を入れる癖があったんですよね? そういえば、今はしなくなったな〜」

「ありましたよ!結構悩んだんですけど、あれいつ頃だったっけ?」

「実は今もちょっと・・・」

などなど・・・

 

「その時は誰にも言わなかったけどね」とのお声も印象的。

 現在進行形で向き合っている時の声は、表に出てきにくいだろうとも感じます。

 

貴重なエピソード教えてくださった皆さま、ありがとうございました。

 

 

私自身が印象に残るのは、

「蛇口の栓をひねったようにキュッと止まりました。ありがとう」

という80代女性の言葉です。

ピラティス指導の道に進んでまもない頃のこと、ずいぶんと勇気づけられました。

 

 

様々な要因がある「尿もれ」、

こちらでは体づかいの視点から書いてみます。

 

 

「尿もれ」が心身に与える影響

「尿もれ(尿失禁)」は、経験者は案外と多いものの

特に渦中においては、誰かに話すのは気がひけるものです。

 

さらには長期間となると尚のこと。

 

「恥ずかしい」「人に知られたくない」「人に迷惑をかけたくない」などの気持ちから、

 

外出を控えたり

うつ傾向になったり

仕事など活動の場をあきらめたり・・・

 

「意欲の低下」

「自尊心の低下」

「社会参加の制限」など

心身への影響は計り知れません。

 

 

 

蓄尿と排尿のメカニズム

【蓄尿】

膀胱に一定量以上の尿が溜まると「おしっこ溜まったよ」と情報が届きます
そして脳が「まだ出さない」と判断すれば

 

膀胱では、排尿のための筋肉が弛緩し

尿道では、排尿口を閉じる筋肉が収縮します

 


【排尿】

「排尿していいよ」と脳から指令が出ると

 

膀胱では、排尿のための筋肉が収縮し

尿道では、排尿口を閉じる筋肉が弛緩します

 

 

このように、「蓄尿」と「排尿」は神経によってコントロールされています。

 

 

そもそも「尿もれ」ってなぁに?

「尿もれ(尿失禁)」とは、自分の意思と関係なく、尿が漏れてしまうことをいいます。

 

尿もれ(尿失禁)の主な3つの種類

  1. 腹圧性:重いものを持った時、くしゃみをした時など、腹圧がかることにより起こるもの
  2. 切迫性:急に尿意を覚えてトイレに駆け込むように、尿意切迫感に伴って不随意に起こるもの
  3. 混合性:腹圧性と切迫性が合わさったもの

 

骨盤底筋・コアの役割り

【直立二足歩行での骨盤底筋】

直立二足歩行の能力を手に入れたヒト、

四足歩行から直立したことで、骨盤は底に穴が開いた器のような向きになりました。

骨盤底筋は複数の筋肉の総称で、骨盤の底の穴をふさぐような位置に存在します。

 

【骨盤底筋の役割】

骨盤の底にある骨盤底筋は

内臓を支えつつ、排泄を調整をする

という相反する役割を担うことになります。

 

 【コアの役割】

骨盤底筋は姿勢を保つ、コアマッスルの一つです。

横隔膜を含む、他の筋肉と共に働いて、腹圧をつくり内臓を安定させます。

  

【腹圧と尿もれ】

腹圧性の尿失禁は、

笑った時、ジャンプ、重いものを持った時、くしゃみをした時など、

腹圧が高まる時におこります。

 

 

腹圧(コア)を構成する筋肉の一つは横隔膜、

そのため、呼吸と深い関係があります。

次は、呼吸と骨盤底筋の関係、コアづかいをチェックする方法を書きますね。

 

さて、ここからは「やってみよう!」の実践編です!

 

 

やってみよう!コアチェック

 【コアチェック】

  1. 畳んだハンカチを椅子の上に置き、その上に座る
  2. 姿勢を正しハンカチを骨盤下に感じとる(感じにくければハンカチの厚みを増やしてね)
  3. 息を長く「ふ〜っ」と吐く(呼気)でおこる骨盤底筋の動きを観察する  

 

息を吐いた時、骨盤底筋は上下どちらの方向に動きましたか?

 

ハンカチを押すように下がったなら、骨盤底筋に負担がかかっているかもしれません。

ぜひ、骨盤底筋がハンカチから上にそっと逃げるような体づかいを探ってみてください

 

 

やってみよう!カラダの解像度を上げる

【骨盤内の構造】

骨盤内臓器の図(女性)をみると

前方から「膀胱」「子宮」「直腸」と並んでいるのがわかります。


尿道(膀胱から尿道口までをつなぐ管)の長さは
女性3〜4cm、男性17〜20cm です。

画像はNHK健康チャンネルよりお借りしました

Q) 膀胱から尿道口までの尿道の走行を、体の中にイメージできますか?

 

排尿時「尿道が骨盤内に感じ取る」にチャレンジしてみてください。

 

少々マニアックのようですが、

イメージによって体の解像度を上げていくと、コントロール力が高まるだけでなく、

体に備わる力に気づかせてもらえます。

そしてこれはいつも「楽しい瞬間!」になるんです。

 

骨盤内のイメージを描く!お試しあ〜れ。

 

 

やってみよう!快適なトイレ空間・トイレ時間

最後は自律神経の視点から。

 

「食」同様、動物にとって「排泄」は大切な行為、

また、体が喜ぶ「快」の時間でもあります。

 

副交感神経が優位になっていて欲しいこの時間にストレスがあると、

体はリラックスできません。

 

例えば、腹圧で尿を押し出すような慌ただしいトイレ習慣は、

尿もれリスクを高めることにもなってしまいます。

 

ということで、環境は重要!

 

トイレ時間がくつろぎの時間となるように

おうちのトイレが快適な空間となるように

 

たっぷり工夫をこらしてみてください。

 


 

ここまで、「やってみよう!」の実践編を3つご紹介しました。

 

快適な体づかいは、将来への健康貯蓄。

どうぞお試しくださいね。

 


※「尿もれ」には体づかいの見直しで改善しないこともあります。気になる場合は病院で受診してください。